銃/中村文則

NODOKAの感想

あなたは何かを破壊したい衝動に駆られたことはありますか。

私はあります。昔働いていた職場で使っていた高級茶器を割りたくなったことがありました。これといった理由は特になかったけどそういったことが何度かありました。たぶんイライラしてたからなんだろうけど、当時そんな自分の感情に驚きました。

この本はその”衝動”を肯定し、あくまで理性的に行動しようとした青年の話のように思った。

でもそうできていると思っていたのは青年、ニシカワトオルだけで、周りからみたらやっぱりどこかおかしかったんじゃないかなー。その周りの感じる感覚が、一人称なのではっきり書かれていない分、余計になんか怖かった。

一人称で話は進むのにすごく客観視した主人公なので、彼目線じゃなくて隣で彼をずっと見てるような感覚だった。

あらすじは、よくいる大学生がある日河原で死体を発見し、その時に落ちていた拳銃を持ち帰ってしまう話。

その青年目線で進む話は、どこか不安定に感じて、ずっと違和感のようなゾワゾワした感覚があった。

読後感としては全然すっきりしないけど、理性としてのストッパーなんていつ壊れるか分からんなといった怖さ、何かに魅せられるといった一種の”執着心”。

怖い、、脳みそって怖い、、←語彙力w

RYOの感想

ある日川の橋の下で死体を発見し、興味から落ちていた銃を持ち帰り、銃のことが頭から離れず、銃に囚われていく大学生ニシカワトオルの話。

話はこの主人公ニシカワの視点で、彼の心理状態の描写をメインに進んでいく。

何か行動する前にいったん深く考えてから行動する理性的な人、というのが第一印象。

しかし、読み進めると理性的なところもあれば、自分でもよく分からず行動しているのに、後から都合の良い、自分が納得いく意味付をしているだけのように受け取れる部分も出てくる。

しまいには”銃を撃つということが現実として迫ってくる”、”そうなることが決まっている”、というような表現で(ちょっと本文とは違うかも)、あたかも何か不思議な力で動かされているのだ、、、

みたいな雰囲気を醸し出してくるが、私には本人が

“銃を撃ってみたい”

という欲をそのような空想理論で、あたかも避けられない事のように考え正当化し、行動に移そうとしているように見えた。

そして徐々に自分は理性的に行動しているつもりなのに、周囲とのズレが生じてきて、周りから見たらおかしい人となっていく。

そして最後は、”理性”ではなく”感情”に任せて暴走してしまう、、、

いやー、恐ろしい、、、

自分はいつ理性が働き、いつ働かなくなるのかを知って、気をつけて行動しないとなぁ。

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